2022年04月11日
シャーシダイナモ
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ECUチューニング 電子スロットルについて
こんにちは。Garage414 SonicChihuahua セッティング担当のシュンです。
今回はYAMAHAの2017年式 YZF-R1のECUチューニングのご依頼を頂きました。
<施工した内容>
・TPSの燃料調節
・IAPの燃料調節
・点火タイミングの調節
・インジェクターバランスの調節
・ETV開度の再セッティング
・クイックシフター/オートブリッパーの取り付け+セッティング
・自動暖機機能の追加
・ファン稼働温度の変更
・スピードリミッター解除
・O₂センサーのエラー/クローズドループのキャンセル
・排気デバイスのエラーキャンセル 等々上記の内容をメインにチューニングを行いました。
設定できる項目が多く、大変な車両でしたのでご紹介させて頂きます。今回はその中でも乗り味に大きく影響してくる「ETV開度のセッティング」についてお話させていただきます。
まずETV開度って何?と疑問に思っている方のために簡単に説明します。
「ETV」は「Electronic Throttle Valve」の単語の頭文字をとった略語です。「電子スロットル」とも言います。
ECUはライダーが手でアクセルを捻ったことを認識してから必要なだけのETV(弁)を開きます。
この時にECUは弁の開き具合を制御して加速させています。
顕著にそれがわかるのは低回転時です。発進直後だったりスローペースからガバっと全開にしても加速までのラグが少しありませんか?それはどれだけ手でアクセルを雑に捻ってもECUがゆっくりと弁が開くように制御しているからなんです。
燃費やマシンの急激な挙動を抑える目的があるのでしょうね。実際にバイクが加速していくまでにどのような工程があるかに分けて考えていきましょう。
ライダーが捻るアクセルの開度とその時のエンジン回転数をもとにECUがETVを開きます。
このようにライダーがどれだけスロットルを開けているつもりでもETVが開いていなければ全く加速しません。
この開き具合を書き換える作業が「ETV開度のセッティング」です。
実際のグラフを見てみましょう。この表は手の開度に対してどれだけETVが開いているかを示しています。
赤枠で囲んでいる低回転域ではどれだけ手元のアクセルを100%に捻っても全開にはなりません。
そのため加速してほしいところで手とマシンとのラグが生まれます。パワーの出方があらかじめマイルドに調節してあると考えればそれまでですが、よりリニアな加速感を体感して頂きたかったので再セッティングしました。乗り味が大幅に変わってしまうので何度もディスカッションを繰り返し調節していきました。
下記のグラフではスロットル開度50%時のパワーの伸び方です。
セッティング前は8000回転あたりからパワーが出ないように絞られていることがわかります。セッティング後ではこの絞りを無くし、パワーが伸び続ける仕様に変更しました。
またモード切替はこのETV開度で制御されていることが多いです。例えばレインモードではどれだけエンジンが高回転で手の開度を100%にしてもETVは50%しか開かないようにしてあります。
このように燃調以外でもパワーを制御している部分に手を加えることが出来るのがサブコンにはない「ECUチューニング」の強みでもあり難しいところでもあります。
最終的にYZF-R1は他にもたくさんの項目で同様に現車に最適なセッティングを行い納品となりました。
オーナー様からは「低中速の立ち上がりが明らかに速くなった!」と喜びの声を頂きました。
純正ではかなり絞ってある領域であるからこそ効果を体感して頂けると思っていました!
燃料調節だけでは難しいパワーの底上げや、扱いきれないパワーを制御しコントロール範疇に収めることが出来るのは「ETV開度のセッティング」があるからこそなのです!
この他にもECUを書き換えるからこそ出来るチューニングが数多く存在します。滑らかでありながら欲しいときに付いてきてくれるパワーをECUチューニングによってお届けできるようにこれからも学習して参ります。
ECUチューニングに関するお問い合わせ/ご依頼お待ちしております。
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