2024年12月06日
お知らせ
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TNT125 aRacer インジェクションチューニング
皆様こんにちは。Garage414 Sonic Chihuahua セッティング担当のシュンです。
今回はセッティングでお預かりした ベネリのTNT125 にaRacerを用いてインジェクションチューニングしたのでご紹介です。
小排気量車だけでなく、リッタークラスのSSでも使用されているフルコンですので、興味をお持ちの方は必見です!
なかなかお目にかからない車種でしたので気になる方も多いかと思い、ブログを書かせていただく事になりました。
使用したaRacerのフルコンは135cc用でしたが スマホの専用アプリで問題なくセッティング出来たのでご紹介いたします。
<車両紹介>
ベネリ | Benelli トルネードネイキッドT125 | Tornado Naked T125
通称:TNT125
ヨシムラフルエキゾースト装着
エアボックスレス&パワーフィルター装着
<使用するツール>
aRacer RC Super2 + bLink2 ワイヤレスモジュール
・フルコン本体とBluetooth接続するための発信機
aRacer Smart
・IOS用のスマホアプリ
・Super2/SuperECU/RC Mini5 ECUに対応
<入庫時の状態/症状>
TNT125へaRacerのTNT135用のフルコンを取り付けた状態
①アイドリング不安定(エンジンストールすることも)
②スロットルを開けるとゴボつきエンジンが吹けない、低回転でのレスポンスが悪い
③油温が上がると突然エンジンストールする
①~③の症状が出ており、特に症状②が酷く目立っていました。コーナーの立ち上がりでスロットルを開けると失速してエンジン回転数が上昇するまで走らないとの事でした。
もともとはTNT135用のECUですので燃料噴射量も点火時期も異なります。
インジェクターがTNT125と135で共通品の場合は、135ccの方が燃料噴射時間が長く設定されているので上記の症状がでるのも頷けます。
<調整内容>
今回調整を行った項目を赤枠で囲っています。
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1.燃料噴射量のベースデータへの補正
2.各スロットル/回転数毎の燃料噴射量MAP
4.デジタル加速ポンプ/スロットル急開時の燃料補正
5.油温毎の燃料噴射量補正MAP
6.点火時期MAP
9.回転数リミッター
11.スロットルOFF時の燃料カット
13.O2センサーのクローズドループ補正
17.TPSキャリブレーション
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今回の調整では上記の9項目を設定しました。どれも重要でマシンのポテンシャルを引き出すためには調整必須な項目です。
調整項目1つずつをご紹介すると長くなってしまいますので、特に重要なポイントだけご紹介いたします!
<調整ポイント①>
ECU内に入っているデータは135cc用で実際の排気量が125ccなので、ベースデータに対して補正をかけなければいけません。
余剰分の燃料をざっくりと抜くためには下記の計算結果を基に調整していく必要があります。
125ccは135ccデータの何パーセント分に相当するのか
125/135*100=92.6%
インジェクターは135ccと共通パーツだと仮定して計算します。
※インジェクターを純正から変更している場合は下記の計算も必ず行う必要があります。
125/125*100=100.0%
よってフューエルベースは92.6/100*100=92.6%からスタートすることがポイントです!この調整をした時点で症状①のアイドリング時の不安定さが解決しました(^^)b
この数値はあくまでも目安ですので、ここから現車に合わせて細かく調整しました。
<調整ポイント②>
しかしこれだけでは症状②は解決せず...
スロットルを開けるとゴボつきエンジンが吹けない、低回転でのレスポンスが悪いという症状はパワーグラフにも顕著に表れていました。
こちらのグラフは"スロットルを25%開けた際のパワーグラフ"です。
3000回転付近で燃料が濃くなりすぎ、その後急激に燃料噴射量が変わった事でパワーロスしています。一方4500回転以降では落ち着いています。
この症状はどのスロットル開度でも発生していました。スロットルを急開した際にのみ起こる症状でしたので「デジタル加速ポンプ」が原因と断定!
デジタル加速ポンプは スロットル急開時に、燃調マップとは別で追加補正してくれる機能です。ベースが135cc用データですので影響が大きいというのが原因でした。ということで症状②も解決!
症状②解決後の"スロットル開度25%のパワーグラフ"はコチラ!
綺麗に吹け上がってますね。パワーもかなり変わっています!
<調整ポイント③>
症状③は油温が上がるとエンジンがストールするという問題です。
エンジンがオーバーヒートしてしまうとノッキングが発生したり、内部パーツへのダメージに直結します。そのため純正のコンピュータでは大抵の場合、温度が上がりすぎないように対策されています。
TNT場合は油温が89℃に到達すると燃料が多く噴射されるように設定されているようです。あくまでも推測ですが88℃までは噴射時間が125ccと共通で、89℃から135ccの方が多く燃料を吹いているのではないでしょうか。
油温に応じての燃料付加量を調整してやることで、症状③も解決しました(^^)b
<調整前後での比較>
その後に詳細な燃調と点火時期等を調整し、最終的には全域で大幅なパワーアップとなりました。
こちらは"スロットル100%開度でのパワーグラフ"です。
各項目の調整後はスロットルを急開してもスムーズに加速し、今まで以上にパワーが出ています。
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今回は125ccの車両に135ccのコンピュータを移植したことで生じたトラブルが多かったですが、適切に調整することで問題解決+大幅パワーアップすることが出来ました。
納車後にサーキットで走行していただき、立ち上がりからストレートにかけて速度が伸びるようになったと嬉しいお言葉を頂けました(^^)
このようにGarage414 Sonic Chihuahuaでは様々なツールを用いて、車両のポテンシャルを最大限に引き出します!
サーキットでの走行はもちろんのこと、ツーリングメインで快適性を向上させたい場合もセッティングは効果的です。
・マシンをもっと速くしたい
・セッティングツールを購入したけれど扱い方が分からない
・マフラーを交換したから燃調をとりたい
・アクセルのドン突きが気になる
・アフターファイヤが頻発する 等々
ということで今回はBenelli TNT125のご紹介でした。少しでもインジェクションチューニングやパワーチェックに興味を持っていただければ幸いです。
もっと詳しく知りたい方や、自分の車両では何が出来るか気になった方は是非お問合せください♪
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担当:トクナガ
メール:sonic_chihuahua@garage414.com
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