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2023年04月11日

シャーシダイナモ

WR250X Negotiator-I インジェクションチューニング[前編]

こんにちは。Garage414 Sonic Chihuahua セッティング担当のシュンです。

今回はWR250Xインジェクションチューニングのご依頼をいただきました。
使用したサブコンは[スペシャルエージェント製 Negotiator-I]です。
サブコンの取り付けから最終的な前後比較まで簡単にご紹介いたします。

①~⑥の順番で進めていきます。
*前編では①~③までご紹介します*

①車両の仕様紹介
②使用するサブコンについて
③現状の測定
④調整について
⑤前後比較
⑥まとめ/感想

①車両の仕様紹介
1
YAMAHA WR250X 2017年式
水冷4ストローク単気筒エンジン


エキゾーストパイプ
2
エキゾーストパイプ:SP忠男 POWERBOX パイプ
POWERBOXパイプといえばこちらのパワーボックスが特徴的ですね。


サイレンサー
FMF
サイレンサー:FMF Q4


エアクリーナーエレメント/エアクリーナーボックス
3
エアクリーナーエレメント:純正
エアクリーナーボックス:エアフラップを除去、その部分の蓋を撤去して吸入口を拡大
本来はかなり絞られているエアクリーナーボックスのフラップと、その蓋を除去して吸気効率を上げているようです。
インターネット上ではお手軽パワーアップ方法として様々な記事が上がっています。
部分的に塞いで本当にパワーグラフに変化が出るかも検証してみようと思います。

②使用するサブコンピュータについて
「スペシャルエージェント Negotiator-I」

4
今回はコチラのサブコンを使用してインジェクションチューニングしていきます。
このサブコンは様々な機能を有しており、とても優秀です。

・燃料噴射量調節
・点火時期調節
・回転数リミッターの任意設定
・デジタル加速ポンプ
・クイックシフター機能(別途スイッチ要)
・マップ切替機能
・サブリミットの任意設定(サーキットピットレーンリミッターなどに使用)
・オリジナルマップ付属

と様々な機能が存在します。
サイレンサー変更等のちょっとしたカスタムに合わせた汎用プリセットマップも収録されているので、装着するだけでも効果があるかもしれませんね。
基本的にサブコンピュータは「燃料噴射量調節」しかできないものが多いですが、Negotiator-Iは機能盛りだくさんで詳細までセッティング可能になります。

取り付けも非常に簡単で①~⑤のカプラに割り込ませるだけで配線加工は必要ありません。
①インジェクタカプラ
5
タンク下のインジェクターに接続されている灰色2極カプラに割り込ませます。
燃料噴射量を補正するために直接インジェクタカプラに接続するようです。

②スロットルポジションセンサー
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乗車姿勢から見た車体右側 フレームとシートレールの間から見えるスロットルボディに接続されている黒色の3極カプラに割り込ませます。
ここに接続することでライダーが開閉する際のスロットルポジションを正確に取得できるようになります。
インジェクションチューニングを始める前に必ずスロットルポジションセンサーの初期設定をしましょう!

③クランクパルスセンサー
78
乗車姿勢から見た車体左側 レギュレーターの裏にまとめてある2極の灰色カプラに割り込ませます。
点火時期を変更するためにクランクパルスを取得します。エンジンの燃焼効率を大幅に底上げするために必要な点火時期調節に必要です。

④テールランプ
テールランプのカプラに接続することで、キーオン時のみ12Vが通電する仕様になっています。レーサーなどで保安部品がない車両、テールランプのハーネスが無いようであれば別のアクセサリー電源に割り込ませる必要があります。

⑤ボディアース
どこでもよいのでボディーアースを接続します。WRはフレームの塗装被膜が厚くアースが落ちない箇所が多々あったのでバッテリーの-極に接続してアースをとりました。

最後に2次エアをカットしておきましょう。
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エアボックスに繋がっているホースとエアボックス下部の穴を塞ぎます。
空燃比が部分的に乱れることを防止します。
エアボックス下部にはエンジンからの吹き替えしでガソリンやオイルが溜まるのでホースなどにメクラをして使用するのが良いと思います。

③現状の測定
各スロットル開度ごとにトルク/パワー/空燃比を測定しました。
公開しているパワーグラフは補正してあります。(修正係数:SAE)
簡単にご説明すると「夏に測定しても、冬に測定しても近い馬力になる」ということです。馬力としては低めに出ることが多いですが、再現性が高いので比較するにはもってこいです。


スロットル開度10%域のパワーグラフ
P1
開け始めです。発進時に多用する2000~3500回転にかけて大きな谷があります。
この測定をする時は、タイヤを転がしている状態で少しスロットルを開けています。つまりチェーンを張った状態から測定しているので、発進時にかかるトラクションによってトルク/パワーが大幅にえぐれているわけではありません。
空燃比を見ると圧倒的に燃料が足りていません。測定範囲外まで振り切れるほど薄いようですね。


スロットル開度25%域のパワーグラフ
P2
こちらも燃料が中間域では非常に薄く、足りていない様子です。
高回転になるとバランスが整っていますね。
純正データではマージン(保険)がかなりかけてあるようです。

スロットル開度50%域のパワーグラフ
P3
5000回転あたりでトルクが大幅にえぐれています
高回転時は純正の濃いめに設定してあるデータでも燃料が足りていません。

スロットル開度75%域のパワーグラフ
P4
50%域と同じようなグラフになりました。

スロットル開度100%域のパワーグラフ
P5
全開域です。低スロットル開度では大きく出ていた5000回転あたりの谷が足を引っ張っていますね
空燃比は50%~75%域に比べると高回転域が丁度よくなっています。

ということで前編はここまでとします。かなり燃調が狂っているようなのでセッティング後への期待が高まります!
後編は実際にサブコンを使用してインジェクションチューニングを施工していきます。作業完了後の前後比較もしながらご紹介できればと思います。
次回の更新をお楽しみに♪

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