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2023年03月09日

シャーシダイナモ

GSX-R150 A-Racer インジェクションチューニング[その2]

GSX-R150 A-Racer インジェクションチューニング[その2]

こんにちは。Garage414 SonicChihuahua セッティング担当のシュンです。
こちらの記事は「その2」となっております。前回の記事をご覧になっていない方は、ぜひ[その1]からご覧ください。

[その1]はコチラ

前回はGSX-R150の仕様紹介からA-RacerにStockデータを入れて測定準備までしました。
今回は現状データの測定からMAP作成前に知っておくと便利なA-Racerの仕様についてご紹介いたします。

①車両について
②インジェクションチューニングのテーマ
③「A-Racer」について
④施工前の準備
⑤現状の測定
⑥マップ作成前に
⑦燃料噴射量の調節
⑧点火時期の変更とその他制御
⑦施工後の前後比較

⑧まとめ/感想


⑤現状の測定
一定のスロットル開度に応じた回転数毎のデータを測定して現状を知ります。
今回は10%,25%,50%,75%,100%を軸として作成後、最終的にそれぞれの繋がりを意識して仕上げました。

[現状の測定条件]
・公開しているパワーグラフは補正してあります。(修正係数:SAE)
簡単にご説明すると「夏に測定しても、冬に測定しても近い馬力になる」ということです。馬力としては低めに出ることが多いですが、再現性が高いので比較するにはもってこいです。
・使用する送風機は1台
・エンジン温度80度で測定

[現状の測定結果]
スロットル開度10%時のパワーグラフ
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開け始めは燃料噴射量が多く、パワー出力が安定してからは少なめになっています。
エンジン始動時にアイドリングせずにストールを頻発していた原因がこの燃料の濃さです。
回転数が上がっていくと出力空燃比辺りに落ち着きました。
高回転に向かうほどグラフがギザギザになっているのは、回転の上がり方が遅いからです。

スロットル開度25%時のパワーグラフ
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25%域からはエンジンの特性が良くわかるグラフになっています。ぱっと見では5000~6000回転でがある様に思えますが、これは6000回転からパワーが出てくるという見方も出来ます。
様々なアプローチでインジェクションチューニングを行っても埋めることのできない谷となっています。つまり電気系統の仕様ではなくエンジン側の特性ということですね。
コース走行では6000回転以下を使うことは、ほとんど無いので気にする必要もないかと思います。
空燃比は非常に整っており、手を加える必要がないのではないかと思うほどです。しかし出力空燃比に合っているからと言って、パワーが最大限引き出されているという訳ではありません。個体差があるので理想空燃比を追いかける必要はありません。現車セッティングではその落としどころを丁寧に探っていきます。

スロットル開度50%時のパワーグラフ
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10%→25%→50%とスロットル開度の領域を通っているので、低回転域は先ほど見たグラフが反映されています。
低スロットル開度/低回転時のマップを通ってスロットル開度50%まで到達しています。低回転域から丁寧にマップを作成しないと高回転時のパワーアップも難しいということになります。
25%域と同様に空燃比は非常に整っており、レブリミット手前では若干濃いめです。多くの車両は低回転時が排ガス規制の関係で薄く、高回転時はエンジン保護のために濃く設定してあります。
このことからR150の純正設定は、かなりパワーを絞り出している様に見えます。

スロットル開度75%時のパワーグラフ
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75%域でも同様に空燃比が非常に整っており、燃料調節として変更を加える部分は少なくなりそうです。
乱れている空燃比を整えてパワーアップするということはよくありますが、ここまできれいに空燃比が整っていると燃料噴射量の調節だけではパワーアップは難しく思えます。

スロットル開度100%時のパワーグラフ
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最後に全開時の測定です。ピークパワーは75%時とさほど変わらず、特徴的といえる部分は5000~7000回転あたりでの空燃比の乱れです。
75%域では出ていなかった乱れが何故発生したのでしょうか?二次エアなどが介入すると空燃比は薄い方向に振れます。しかしこの場合は濃い方向へ振れていることから、何らかの補正が介入していると考えられます。

75%時と100%時で違うことといえば「スロットルの開け方」です。測定時のスロットルの開け方は各領域ごとに統一していますが、100%開度の時だけ「デジタル加速ポンプ」が介入していたようです。
ECUがスロットルを急開したことに反応して、ベースとなる燃料マップに追加で燃料を送っているということです。
「余計なことをするな...」という感じですね(笑)
こちらも改善の余地がありそうです。

現状がわかったところでMAP作成へ移ります。

⑥マップ作成前に
A-Racerには非常に多くの設定項目が存在します。 ざっくりと私が理解できている範囲でご紹介いたします。
ソフト内では英語の略語が多用されています。この略語がわからないと何を触っているのかが全く理解できないと思いますので、頻繁に使用することになった略語をいくつかご説明します。

AP 空気圧
SA 点火時期
T-Air 吸気温度
T-Eng エンジン温度
P_Atm 大気圧
VM ベースマップ
ISC アイドリング速度調節
IAC アイドリング吸気調節
Cly1 シリンダー1番 R-150は単気筒なのでCly1しかありませんが、4気筒の車両であればCly1~Cly4まであるかと思います。
Cal キャリブレーションの略→調節

作成者の思うニュアンスとずれているかもしれませんがこんな感じです。
そして調節できる項目が大量にあります。
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更にそれぞれの項目から5~10項目程度に分岐します。

例としてフューエルキャリブレーション「燃料噴射量調節」のカテゴリを見てみましょう。
セッティングといえばコレ!という燃調についてです。
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なんと「燃料噴射量調節」という1つカテゴリでも10項目が存在します。
こちらのカテゴリは比較的理解しやすく、ベースマップとそれに対してのオフセットするパターン毎のマップとなっています。

例えばギアごとの燃料噴射量を調節出来たりします。
一番上にあるベースマップに対して何パーセント補正するかをそれぞれ条件ごとに設定できます。
納品後にお客様が特定の状況で不満を感じられた際に、再セッティングを容易にするためベースマップには変更を加えていません。
Stockデータに対して補正を入れる条件と、その補正量を調整しました。

具体的には スロットル開度という要素が絡んだ時に補正を加えてくれる上から2番目のマップを細かく作りこみました。
実際にこのマップを開くとこのようになっています。
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「100」というのがベースマップに対して100%補正するという意味です。何も変更がない状態です。
これを「110」とするとベースマップの値が「+10%」されたことになります。
このパーセンテージはベースマップの値に依存するので同じ1%でも場所が違えばその付加量は変わってきます。
簡単に言えば、アイドリング時の+1%と全開の高回転時での+1%は量が違います。

一般的なサブコンと同じような補正が出来るので非常に使いやすいですね!

ということで今回はここまでとします。
次回は燃料噴射量を調節後のパワーの前後比較から入ります。
空燃比はかなり整ってる車両です。調節でどれほどパワーが変わるのでしょうか...
次回[その3]の更新をお楽しみに♪

「Garage414 ソニックチワワ」では「より速く・より扱いやすく」をテーマにパワーチェックやECUチューニングをはじめとするインジェクションチューニングを行っております。
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